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うつ病

うつ病

誰でも、気持ちがふさいだり、やる気がでないことはあります。うつ病は、誰でもがなり得る病気として認知されるようになってきました。昔は、特性とのパーソナリティーと結びつけられて考えられていたこともありますが、今はどんな性格傾向の人もかかる可能性があると考えられています。
精神疾患全般に言われていることですが、うつ病においても、軽症化、非典型化、非定型化の傾向があります。
ただ、軽症化しているとはいえ、全てのケースで治療がスムーズにいくわけではありません。神経発達症(自閉スペクトラム症、ADHD)が背景にある場合、不安症の併存、心的外傷などがある場合は、治療抵抗性になる可能性があります。
抑うつ状態で受診する方の2割くらいは双極症の可能性があるという報告もあります。
自閉スペクトラム症の場合は、セルフモニターの弱さから、自分の疲労を意識することができず、動けなくなるまで活動することがあります。また、一度、挫折すると立ち直れなくなる「履歴現象」があり、遷延性のうつ病と誤診される場合もあります。また、自己流の解釈、やり方で仕事をして上司の指示どおり仕事をできない、何度も同じミスを繰り返す、どこまで求められているかわからず、頑張りすぎてしまう、Noといえず、仕事を押しつけけられなど、職場の「うつ」には自閉特性がかかわっているものが少なくありません。ADHDの併存がある場合、薬物療法において、エフェクトサイズが大きいので見逃さないようにすることが大事です。
STAR*D(Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression)研究は、うつ病の治療に関する大規模な臨床試験です。この研究は、アメリカのNIMH(国立精神衛生研究所)が主導し、うつ病治療の効果的な戦略を明らかにすることを目的としていました。その結果は、最終的に治療を完了した患者の約67%が寛解で、抗うつ薬が効果的な患者は限られているというものでした。当時は、非定型抗精神病薬のオーギュメンテーションはされなかったのですが(アリピプラゾールやレキサルティの付加など)、約三分の一は、寛解に至らないとい結果でした。
このことは、心理療法などの必要性を示唆するものだと思います。
認知療法(ベックの理論)は、否定的な思考が気分を悪化させることを重視するという主客逆転の発想があります。
行動活性化というアプローチもあります。

  1. うつ状態になると、気分が沈み、行動が減少する(何もしたくなくなる)
  2. 行動が減ることで、楽しみや達成感を感じる機会が少なくなり、さらに気分が悪化するという悪循環になる。
  3. そこで、意識的に少しずつ活動を増やすことで、ポジティブな経験を増やし、気分を改善する

具体的には自分の行動を記録し、少しずつ活動を増やすことが大事です。

コーピングとは、ストレスや困難な状況に対処するための工夫や対策のことです。うつ病の改善にも役立ちます。
運動、趣味など、なるべくお金がかからない、気軽にできるものを複数もっておくことが大事です。

うつ病における反芻思考(はんすうしこう)とは、過去の失敗や否定的な出来事について繰り返し考え続けてしまう状態を指します。この思考パターンは、気分の落ち込みを悪化させ、うつ病を長引かせる要因となることがあります。

反芻思考と距離をとることが大事です。

マインドフルネスは、「今ここ」に集中するこことで、うつ病の回復や予防に役立つとされています。私たちは、いろいろ考えてしますが、そのうちの半分が過去への反芻、将来への不安だと言われています。過去の後悔や未来への不安にとらわれることを減らすことが重要です。

うつ病の改善や予防には、栄養が重要な役割を果たします。食事によって脳の神経伝達物質のバランスが影響を受けるため、適切な栄養素を摂取することで気分の安定やエネルギーの維持に役立ちます。

ω脂肪酸、ビタミンB群、マグネシム、トリプトファン、Feなどが重要とされています。

まだ、日本では実用化されていませんが、ケタミンは大変注目されているものです。

三寒四温(さんかんしおん)」は、寒い日と暖かい日が交互に訪れることで、春の訪れを感じさせる言葉です。これは、うつ病の回復過程にもよく例えられます。

うつ病の回復は一直線ではなく、良い日と悪い日を繰り返しながら少しずつ良くなっていくものです。調子の良い日が続いたと思ったら、また落ち込む日が来ることもあります。でも、それは回復が進んでいる証拠です。寒い日があっても、少しずつ春に近づいているように、焦らずにゆっくりと回復を待つことが大切です。

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